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空気の振動「音」を遠くまで伝える、ネットワーク伝送って?

私たちが毎日使っているスマートフォンやWeb会議ツール…。これらから聴こえてくる音声は、通信設備を介したネットワークを経由して私たちの耳まで届きます。
でも、本来空気の振動である「音」が、どうやってネットワークを通じて送られているのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
今回の「オトノハナシ」では、その仕組みと進化についてご紹介していきます。



ネットワーク伝送の基礎知識

オトノハナシでも何度かお話ししてきたように、「音」は空気などを媒体として伝わっていく振動です。この音が私たちの鼓膜を振動させ、その振動を神経信号に変換し、脳で処理することで音が聴こえるのです。
ただ、音が空気を振動させながら進んでいっても、音の発生源からあまりに遠くにいると、その音は聴こえません。私たちの日常では同じ会社や大学のキャンパス内の離れた場所、さらには遠く離れた外国へも音を届けることができていますが、この時役立っているのが、今回お話しする「ネットワーク伝送」なのです。


音のネットワーク伝送のしくみ

ネットワーク伝送は、その名の通りLANやインターネットなどのネットワークを利用して、音をはじめとする様々な情報を遠くまで届ける仕組みです。
この方式で音を伝える際には、空気の振動である音を電気信号に変換する必要があります。まずは音をマイクで拾い、一度電気信号に変換します。この時の信号は連続的に変化する「アナログ信号」ですが、さらそのアナログ信号を今度は1と0からなる非連続的な「デジタル信号」に変換し、その上でそのデジタル信号を小分けにした「音声パケット」にしてネットワークに送り出します。
受信側は、この音声パケットを受信し、小分けになったものをつなぎ合わせてアナログ信号に戻し、さらに音声に戻します。

※音声が流れます。パソコンの音量をあらかじめ適切な音量に調整して下さい。

このネットワーク伝送のメリットとしては、複数の場所に同時に届けられることが挙げられます。また、音を距離やノイズによって影響されにくいデジタル信号に変えて伝送するため、国を跨ぐような遠く離れた場所にもクリアかつ再現性の高い音声を届けることが出来るのです。
少し複雑なプロセスを経ますが、こうした高いメリットがあることから音のネットワーク伝送は、スマートフォンをはじめ、多くの機器で使われる主流の方法となっています。


インターネットの進化が、音のネットワーク伝送をより価値あるものに

インターネットの通信速度や送信できる容量は時を経て高まっており、現在は音だけでなく、データ量の大きい画像や映像などが一般的に伝送できるようになっています。この進化によって、音やテキストデータ、画像、映像を組み合わせたコンテンツの提供が可能となりました。
今ではすっかり当たり前となっている、オンライン会議やSNS上で行われるビデオ通話といった音声や映像のやり取りは、インターネットの進化とネットワーク伝送が組み合わされたからこそ実現できているのです。

また、ネットワークを介してさまざまな機器やシステムの連携がしやすくなり、こうした音や情報のネットワーク伝送の活用シーンは多岐に広がっています。


これからも広がり続ける、音×ネットワークの可能性

これまでお話ししてきたように、音や情報のネットワーク伝送は、私たちの生活において大きな変化をもたらしました。この変化は現在も止まることなく、今も発達したネットワークだからこそ実現できるシステムやアプリケーションで新たな価値を生み出すための研究がTOAを含め様々な場所で進んでいます。
ただ、伝送経路はどんなに進化しても、音による情報伝達には変わらない大きな利点があります。それは、人の意識に割り込み、情報を伝えられること。音は空気を媒体として伝わり、人の意思にかかわらず耳に届いて、明確な意思疎通や注意喚起行うことが出来るのです。
ネットワーク伝送の進化に伴って音をより広い範囲に届けられるようになることで、こうした音が持つ特性はより効果的に活かされ、その可能性は広がっていくことでしょう。