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声で防災 ―もしもの時にメガホン使えますか?―

コンサートやイベント時の人員整理、選挙演説などでも使われる電気メガホン。地震や火災など非常時の避難誘導でも、人の命を守るためにその力を発揮します!

実はこの電気メガホンを世界で初めて開発したのがTOAなんです。
TOAのメガホンは、イベント施設や公共施設はもちろん、救急車や消防車、旅客機にも搭載され、多くの人々の避難誘導に貢献してきました。

1954年に開発した世界初の電気メガホン EM-202

でも、“使っている姿を見かけたことはあるけれど自分自身は使ったことがない”という方も多いのではないでしょうか?
もしもの時に、すぐにメガホンを手に取って使える人ってどのくらいいるのだろう?という社員の疑問から生まれた今回のオトノハナシ。自分の声を手軽に拡声できるメガホンを、もっと身近な存在にしたい!と取り組む、TOAの西尾さん、鍋島さん、上野さんの3名に、非常時のメガホンの有効性や、正しいメガホンの使い方について伺いました。

意外?! 皆さんの身近な施設にもメガホンがあるんです

西尾さん「皆さんが通う学校や職場、商業施設や公共施設には必ずと言っていいほどメガホンがあることは、ご存知でしたか?これは総務省消防庁が避難誘導への活用を推奨しているからなんです。正確には建物の規模によって異なります。
メガホンは “非常警報器具”というカテゴリーに分類される設備です。消防法では、50人未満の人が集まる施設にはこの“非常警報器具”の設置が義務付けられています。
50人以上の人が集まる大きな施設では、館内に放送で火災発生をしらせる非常用放送設備等の設置が義務付けられていますが、それだけでは十分とはいえず、大きな施設だからこそ個別での細やかな避難誘導も重要になってきます。そのため非常用放送設備に加えてメガホンの活用が推奨されているんです」

鍋島さん「非常用放送設備は、広い館内全体に火災の発生をしらせ、フロアごとに適した避難誘導ができます。でも、個別の部屋にいる人たちにまで“どこに、どのようにして逃げれば良いか”という細やかな指示をするのは難しいんです。そこで活躍するのがメガホン。メガホンなら使う人の目の届く範囲に個別に声を届けられますから、より現場に即した的確な避難誘導につながります。」

西尾さん「特に、火災時に“非常用放送設備”のスピーカーから流れる放送は92dB以上の大音量になることも。これは例えるなら、カラオケルームの真ん中で歌声を聴いているのと同じくらい。そんな大きな音の中で、周りの人に呼びかけるのって大変ですよね?それに慌てて避難しようとする方もいる中で、一人も取り残さず正確に避難誘導するためには、ハッキリと聴き取りやすい音での誘導が欠かせないんです。」

鍋島さん「メガホンは手に取れば誰でもすぐに自分の声を大きく拡声できる、非常時の必須アイテムです。通常は、防災センターの中や消火器の付近、あるいは非常用の持ち出し袋などと一緒に置かれていますので、ぜひ皆さんの身の回りにもメガホンがどこにあるのか一度確認してみてください!TOAでも各フロアの消火器と共に、メガホンが設置されていますよ」。

いざという時にメガホンを適切に使うには?


上野さん「意外と知られていないのですが、メガホンはこのコンパクトなボディの中に、マイク、アンプ、スピーカーと3つの機能が詰まっています。しかも手に持って使う商品なので、マイクと同様に、じつは持ち方も重要なポイントなんです。
まずメガホンを使うときはスピーカー部分を下に向けず、まっすぐ、あるいはやや上の方向を向けて使用してください。このとき、マイク部分には唇が触れるか触れないかの近い距離で話すようにしましょう。

マイク部分を手で覆ってしまうとハウリングしやすくなるのでご注意を!

メガホンは災害誘導時に使用されることを想定しているため、大声で話しても壊れることはありません。正確に指示を伝えるために、まず話し手が落ち着いてメガホンを構え、大きな声で話すことが大切ですよ。ただし叫び過ぎたり、壁が近くにあるなどマイクが反射した音を拾いやすい状態だと、”キーン”といったハウリングが起きます。これを防ぐために、まずは音量のメモリを0にしてから徐々に上げていき、ハウリングが起きたら少しメモリを戻してギリギリのラインに調整すると、効果的に声を拡声できます。」

西尾さん「また、話す際には同じ内容を2回繰り返して大きな声で呼びかけを行うのも重要ですね。特に慌てて避難しようとしている方は、1回目の呼びかけは単なる音として聞き逃してしまう場合もあります。2回繰り返すことで避難を呼びかける大切な言葉として、避難する方の耳にもしっかり届くはずです。ご自身が避難する場合も、大事な放送や呼びかけは2回繰り返されるはずですので、落ち着いてよく耳を澄ませるように心がけてくださいね」。

正しいメガホンの選び方&保管の仕方

上野さん「もし皆さんが、これから非常時の備えとしてメガホンを選ぼうとする場合は、まずカタログなどに書いてある音の“通達距離”という項目を確認してみてください。非常時は西尾さんの話されたように、さまざまな音が飛び交う混雑したなかで音を聴くわけですから、実際には“通達距離”の半分程度を指標として商品を選んでいただくと良いかと思います。
また実際に手に持っていただく商品なので、持ちやすさや軽さ、サイズ感も大切です。例えばこちらの商品の場合は、軽くて小型というだけでなく、メガホンを構えても視界を遮られないよう、あえてクリアな素材を使用しています。他にも、防滴性能や抗菌性能の有無なども選ぶ際のポイントにしてみてください。
非常時に大声で話し続けるのは避難誘導される方にとっても喉にも心にも負担がかかります。警報音による注意喚起を行うことを考えて、サイレン機能付きのメガホンなどを選べば、緊張して声が思うように出せないといった場合でも、大きな音で避難する方の注意を引くことができますよ」。

2019年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞したER-1103/1106シリーズ

鍋島さん「メガホンは“使う方の視界に声を届けるもの”として捉えていただくとイメージがしやすいと思います。そう考えると、施設に1つではなく各フロアに少なくとも1つ以上は備えていただくのが良いと思います。
そして、メガホン設置したからといって安心してしまわないことも大切です。こうした機器は日頃から使ってこそ意味があるもの。防災センターの棚に置きっぱなしにしておくと、いざという時に破損していたり、電池が切れてしまっていて使えないという可能性もありますし、何よりこんなに便利なメガホンを使わないのはもったいないです!
学校であれば、集団行動の際の点呼や運動会、職場でも避難訓練や社員同士のレクリエーション時など、いろんな場面で活躍しますよ。しかもこうして使えば器具の調子や電池の減り具合も確認できます。日頃から使っていただくことこそが一番のメンテナンスですね」

非常時に多くの人の命を守る、メガホンをもっと身近に

いつ起こるかわからない非常時に、メガホンを手に取るのはあなたかもしれません。
その時のあなたの声は、きっと誰かの命を救う大切な道しるべになるはず。
もし通われている学校やお勤め先の職場などで避難訓練をする機会があれば、ぜひお近くのメガホンを手に取って、そして実際に話してみてください。もしもの時に備えて、今できることから始めてみませんか?


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