西宮ストークス×TOA アリーナに興奮と感動を呼ぶ音づくり
サッカーや野球、バスケットボールなどのスポーツ観戦。選手たちが華麗なプレーをみせた時や得点時には、会場がワッとひとつになって湧き上がります。あの興奮と感動は、スタジアムやアリーナで観戦するとより一層強く感じるものですよね。そんな会場の一体感を醸成するために、「音響設備」が大切な役割を担っていることをご存知でしたか?
私たちTOAは、B.LEAGUE所属のプロバスケットボールクラブ「西宮ストークス」のパートナーとして、西宮ストークスのホームスタジアムで開催するTOA presentsゲームにて自社の音響機材を活用した会場の音づくりを行っています。
B.LEAGUEの試合は、チーム専属のMCによる実況アナウンスや、試合中のBGM、チアリーダーによるダンスパフォーマンスなど、たくさんの音で溢れています。その会場での音は、選手の皆さんにどのように聴こえているのでしょうか?
今回は西宮ストークスから、渡邊翔太選手とジガ・ディメッツ選手のお二人、さらに音響設計を手がけるTOAグループの株式会社ジーベックから岩清水悠太さん、跡部亮平さんをお招きして、アリーナや体育館における音づくりやプレー中の音の大切さについて、お話を伺いました。
試合会場での音は選手にどう聴こえている?
渡邊選手:試合会場ではブースター(熱狂的なファン)の皆さんの声援やアナウンス、あるいはBGMが流れていたりと、いろいろな音に囲まれます。反対に練習時にはこういった音はありませんので、コートに入った時にこうした音が聴こえてくるとやはり気が引き締まりますね。それに、いいプレーができた時やチームが流れに乗った時に、観客席からワッと歓声が上がると、私たちもすごく力づけられますね。
ジガ選手:プレー中もそうですが、ウォームアップの時にも音の効果というのは重要ですね。曲を聴いて試合に臨むためのモチベーションをアップさせたり、もちろん試合中に聴こえてくる歓声やBGMも自分の気持ちを高めるための特別な効果があると思いますね。
岩清水さん:反対に観客席からの音が大きすぎてプレーに集中できないといったようなことはあるんですか?
ジガ選手:そういうことはないですね。プレー中はかなり集中していますので、審判のホイッスルなど以外の会場で流れている音については、あまり気にならないことが多いですよ。
渡邊選手:でも、体育館によっては“音がうるさいな”と感じてしまうこともありますね。なんというんでしょうか、音が大きすぎるというか、音が反響してわんわんと響いてくるような会場だと、個人的にはちょっと気になることがあります。そういう会場ではMCの声もどこかくぐもって聴こえる気がします。
体育館における音の問題&意外と大変な音づくり
跡部さん:渡邉選手が感じられた音がうるさく聴こえてしまうというのは、じつは全国の多くの体育館が抱える問題なんです。たとえば国技館のような非常に大きなスポーツ会場には通常、天井近くに指向性の高いスピーカーが設置されています。これによって観客席へ適切に音が届けられるのですが、こうした音響設備がしっかりと整えられている会場はごく一部です。
特に、音響設備面では多くの体育館で「ポイントソース」と呼ばれる種類のスピーカーが使用されているのですが、これは音が上下左右に拡散するという特性を持っています。
みなさんも体育館でボールが跳ねる音がよく響くのを体感されたことがあると思いますが、体育館の内部は床面が硬質な板張りで音を反響しやすいんです。さらにその面積も大きく、天井も高いことから、音が反響して不要な音が残る、いわゆる残響現象が非常に起きやすい環境です。ここで音が拡散する特性を持つ「ポイントソース」のスピーカーを使うと、残響現象によって音が聴き取りづらくなってしまうのです。
岩清水さん:プレーをするにあたっても、観戦するにあたっても、会場内の音は大きな影響を及ぼすと私たちは考えているんです。例えば、初めてバスケットボールを観戦する方にとって、試合の状況やプレーの流れをその場で判断するのは非常に難しいものですよね。ただし、試合会場ではMCによる実況が行われていたり、チームのBGMが流れたり、音を通じた情報が頻繁に流されています。これによって試合運びが理解できたり、観客同士で応援の声を合わせたりといった判断ができるようになる訳です。この時に音が割れてしまったり、残響によって聴こえづらいというのはとてももったいなくて、楽しく一体感を得られる音で試合を楽しんでほしいと思ったわけです。そこでTOAが冠を務める試合で、最高の音環境を提供しようと、この取り組みが始まりました。
TOA presentsゲームで行われる音づくりの舞台裏
岩清水さん:TOA presentsゲームで目指したのは、会場の一体感を盛り上げるための、クリアで聴き取りやすい音環境づくりです。そこで、私たちが選んだのは「ラインアレイ」と呼ばれるスピーカー。これは「ポイントソース」と違い、スピーカーの前方に真っ直ぐ音が響き、上下に広がりにくいという特性をもっています。このスピーカーを1階の観客席の両端に2台ずつ配置。さらに2階の観客席の両端にも小型のラインアレイスピーカーを2台ずつ設置することで、不要な残響を抑えて客席だけを狙って音を届けています。これらは、事前に会場の図面などを参照しながら、シミュレーションし設置位置などを決定しています。
跡部さん:こうした体育館は、すでに既存のスピーカー設備が入っていることもありますし、試合に必要なスペース取りのために、新たに音響システムを導入するのがなかなか難しいんです。シミュレーションと並行して、現地へ足を運びながらスピーカーのサイズや数を検討しました。私たちの設計上の理想と、現実の体育館の運営の実情の間で落とし所を決めていくのに結構苦労しましたね。
渡邊選手:スピーカーの違いには気が付きませんでしたが確かにTOAさんが音響を手掛けてくださっている試合だと、音がクリアに聴こえるなとは感じていました。
岩清水さん:以前に音響を手掛けた際には、ストークスの運営の方や観客の方から「いつもとは音が全然違った!」というお声をいただきました。特に会場の外でチケットなどを販売されている方からは「会場のドアが閉まっているのに、まるで開け放っているのかと思うくらい綺麗な音が聴こえた」、観客の方からは「いつもはドンドンという応援のBGMが、 ドゥンドゥンと体に響くように聴こえた!」というような反響が寄せられましたね。これはとても嬉しかったです。
選手とブースターをもっと近づける音のチカラ
岩清水さん:選手の皆さんは会場で「こんな音が聴きたい」というご要望はありますか?
ジガ選手:ベンチや客席からの声はもっとクリアに聴きたいですね。会場の中でのブースターからのエネルギーというか、熱狂の声ももっと聴いてみたいと思います。また、入場時や得点時にエンターテインメント性のある音の演出があれば、もっとブースターの皆さんも楽しめると思いますし、私たちとの一体感も出るのではないでしょうか。
渡邊選手:いいプレーが出たときの観客の声はやっぱり聴きたいですね。ブースターの皆さんの声で会場の雰囲気がさらに良くなり、プレーにも影響する。そんな音を一緒に感じてみたいですね。プレー中も「渡邊選手頑張れ!」「しっかりしろ!」なんて、自分に向けられた声援は意外なほどよく聴こえます。これがもっとクリアに、ピンポイントに届いたら面白いかもしれませんね。
岩清水さん:確かに観客からのピンポイントな声援を送るというのはできそうですね。たとえば、入場時やハーフタイムなどの比較的時間が取れるタイミングで、ブースターの声を届けたり音による演出をすることで、より楽しく発見のある観戦、何より選手とブースターをもっと近づけて、つなげていくための仕掛けができるかもしれませんね。
渡邊選手:それは面白そうですね!試合を間近で見て、歓声や試合中の音を感じてファンになってくれる方は多いんです。そういう意味でも、TOAさんやジーベックさんの取り組みに期待したいですね。次のTOA presentsゲームでも、いい形で勝ってシーズン後半に繋げていきたいと思いますので、ぜひ一緒に会場を盛り上げていって欲しいなと思います!
TOA presentsゲームで、クリアなアリーナサウンドを体感しよう!
次回の西宮ストークスのTOA presentsゲームは2023年2月11日(土)と12 日(日)の2日間。西宮市立中央体育館で、山形ワイヴァンズとの熱戦が繰り広げられます。もちろん、この試合でもTOA&ジーベックがクリアで明瞭、そして会場の一体感を高める音響システムでブースターの皆さまに音のプレゼントを提供します!そして、ハーフタイムには皆さまの声を選手に届ける特別企画「選手に応援メッセージ届けませんか」を開催する予定です。音の力で一緒に会場を盛り上げ、選手にエナジーを届けませんか?皆さまぜひ観戦にお越しください。