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神戸マラソンを支えるオトノハナシ

神戸マラソンは2011年より神戸市内で毎年開催されているマラソン大会。
自分のために走るだけでなく、阪神・淡路大震災から復興した兵庫・神戸の姿を広く発信し、手を差し伸べてくださった国内外の方々や地域の人々への感謝の気持ちを伝えたいという思いのもと、開催されています。
コロナ禍の影響から、2020年、2021年度の大会は残念ながら延期されてしまったものの、招待選手やゲストランナーに加え、この日を待ちわびた2万人ものランナーが参加して2022年11月20日には3年ぶりとなる第10回大会が開催されました。
実は、TOAはこの大会の開催当初から、音響機材と専門のスタッフを派遣し、マラソン大会の運営を音でサポートしているのです。

スムーズで安全なマラソン大会を実現する、スタート地点の音


TOAの音響機材が設置されている場所の一つが、マラソン大会の本部やスタート地点のある神戸市役所前。
神戸市役所前から南東に伸びるフラワーロードには、500~600m近くにわたって約2万人のランナーが集結します。先頭から最後尾まで、ランナーたちに等しく、本部からのアナウンスや競技開始を伝える号砲の音を届けるのが私たちの役目なのです。
そこで活躍しているのが、市役所前にクレーンで吊るされた巨大な「ホーンアレイスピーカー」。もともとは災害時に防災情報を広く伝達するために開発された屋外用のスピーカーなのですが、この神戸マラソンでは特別仕様として24連結させ、クレーンで釣り上げた状態で音を出しています。


クレーンで持ち上げながら慎重に組み立てて…
地上20mの高さまで釣り上げます

一般的なスピーカーを広い場所で使用すると音が拡散してしまい、遠くまで届きにくいだけでなく、近隣の方にも大きな音が聴こえてしまいます。このホーンアレイスピーカーは狙った方向に真っ直ぐ音を届けられるので、音が遠くまで届き、近隣の方への影響も少ないのが特徴。スタート会場となるフラワーロードは一直線の通りであるため、この特徴が最大限発揮できるのです。

また、当日は号砲だけでなく、招待選手の紹介やゲストランナーのメッセージなどもこのスピーカーから流されます。
毎年スタート前には、阪神・淡路大震災からの復興に手を差し伸べてくださった方々への感謝の気持ちを伝えるため、全ランナーがひまわりの花をイメージした黄色い手袋を天に掲げるセレモニーが行われます。2万人のランナーが集結したフラワーロードに咲く満開の「ひまわり」の眺めは壮観そのもの。みんなが心とタイミングを合わせて行うこの合図にも、もちろんTOAのスピーカーが役立っています。

さらに2022年大会からは、スタート地点においてもうひとつの音響機器が会場を支えています。それが、「中型ホーンアレイスピーカー」。先ほどのホーンアレイスピーカーと同じく災害時の情報伝達のために開発された小型モデルのスピーカーです。

本大会では、今年度より感染症対策としてフラワーロードと垂直に交わる道路にもランナーの待機列が設けられました。この場合、ホーンアレイスピーカーが効果的に音を届ける範囲から外れてしまうため、交差点付近に足場を立て、そこに中型ホーンアレイスピーカーを設置。待機列にいるランナーにもしっかりと音を届けることで、大会の一体感を盛り上げます。


ラストスパートのランナーに力を与える音のチカラ

2万人のランナーに一斉に号砲の音が届き、レースはスムーズにスタート!しかし、TOAの出番はここで終わりではありません。
神戸マラソンのフィニッシュ地点は人工島ポートアイランドにあるのですが、この島に渡るまでの橋は、20mを超えるアップダウンがあり、また海からの風も強い「最大の難所」と呼ばれるポイント。また今年度は感染症対策のために沿道からの応援も自粛が呼びかけられていました。
辛い登り坂に思わず挫けそうになるランナーに声援を届けて勇気づけたい、とTOAが第10回大会で初めて提供したのが「オトノハナシしませんか?」の記事でもご紹介したスピーカー搭載ドローンです。

本来は災害時の避難誘導やスピーカーの音が届かない地域への緊急放送用を想定したものでしたが、今回は、神戸市内の幼稚園の子どもたちや、地域のラジオDJ、今回大会特別ゲストとして招待されたマラソン選手の野口みずきさんらの応援メッセージを空から選手たちに届けます。
ポートアイランドに渡るための橋は上下に分かれており、大会当日では上の道路をランナーが走り、下の道路を一般車両が通行しています。そのため、一般車両に影響せず、かつ騒音に負けない音量でランナーがしっかりと聴き取れるように、ランナーの側面からボリュームを調整しつつ、的確に応援メッセージを届けていきます。


万一に備えることの、その先へ


大盛況のうちに終了した第10回神戸マラソン。
コロナ禍を乗り越えて開催されたこの大会を支えることができ、地元神戸の企業としてとても嬉しく思っています。またそれと同時に、音の効果や可能性を多くの人に体感していただけたのではないか、とも感じています。
本大会で活用したTOAの製品は、本来は人々の安心をつくり、安全な暮らしを守るもの。ですが、研究開発を進める中で培った「屋外でもクリアで聴き取りやすい音を届ける」技術は、使い方や発想を変えれば、大きな屋外イベントや日常生活の中で、人を楽しませたり、勇気づけたりする力も秘めているのです。
皆さんも、大きなマラソン大会や屋外のイベントの際には、会場のスピーカーなどの音響機材にちょっと目を向け、耳を傾けてみてください。もしかしたら、そこにはTOAのスピーカーと、TOAの音が活躍しているかもしれません。

TOAの従業員もランナーとして参加しました


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