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アナウンスをかんたんにもっと伝わるYUTTE

駅や公園、ショッピングセンターなどでよく耳にするアナウンス放送。じつは放送するために、かなりの労力とコストがかかっていること、ご存じでしたか?!
とくに大規模な施設では、バリエーションの異なる放送を日に数十回行うことも。
その度に、担当のスタッフが自分でマイクを握ってアナウンスを行ったり、あらかじめ放送用の音源を作るためにアナウンサーの方に依頼して録音したり、と施設運営者の方にとっては大きな負担がかかってしまうのです。「これをなんとか解消できないか」「もっと簡単に気軽にアナウンス放送を活用していただけないか」と、TOAが開発を進めているのが、放送アナウンス作成サービス「YUTTE(ゆって)」です。

このサービス、開発段階から複数のパートナー施設と連携し、もっと使いやすく!を実現するためのヒアリングと実証実験を重ねながら、2023年5月にβ版がリリースされました。
今回はそのパートナー施設の一つである大阪府高槻市の「安満遺跡公園」さまにインタビュー。YUTTEってどんな風に便利なの⁉本音のオトノハナシをお伺いしてきました。



YUTTEとは?

YUTTEは、音声を合成して文字を読み上げるソフトの一つで、パソコン上で文字を入力するだけで、アナウンスの音源が自動生成されます。音声には、女性・男性のバリエーションのほか、声の抑揚やスピードなど、合計26パターンから選択が可能。さらに、チャイムやBGMも加えることができるため、シーンに合わせた自然で聴き取りやすいアナウンス音源を簡単に生成できます。
TOAは、このYUTTEβ版を2023年5月にリリース。約1年の無償利用期間を経て、ユーザーの皆さまのご意見を集約して性能に磨きをかけ、2024年に正式版の公開を予定しています。


YUTTEの導入で、アナウンスの手間が半減!?

大阪府高槻市にある安満遺跡公園。もともとは旧京都大学附属高槻農場として使用されていた場所で、2021年に弥生時代の遺跡を史跡として残しつつ、地域の人々が憩う公園として生まれ変わった、高槻の新名所です。
約22ヘクタールの広大な敷地には、多くの人々が集まり思い思いの時間を過ごしています。利用者さまが安全・安心に過ごせる公園運営のために、公園内ではさまざまなアナウンスが行われているのですが、オープン当初はその全てを担当者の方が直接マイクで話すことで放送していたといいます。
YUTTEを導入いたただいたことで、どんな変化があったのでしょうか?

左から、TOA営業担当の成田さん、安満遺跡公園担当者の川﨑さん、片桐さん、TOA商品企画担当の藤田さん、開発担当の犬飼さん


川﨑さん:「アナウンス設備は、事務所内の自席から離れた場所にありますので、放送時には日に十数回も仕事の手を止めて席を離れ、設備まで向かい、自分で話す必要がありました。そのため業務が忙しい時間帯には、十分にアナウンスを行う余裕がないこともありました。現在はYUTTEを使って、遊具の使用法の説明やペットのノーリード禁止といった、公園内のマナーや注意喚起のための定例アナウンスのみを放送しているのですが、それだけでもアナウンス業務の手間は半減しましたね。」


TOA藤田さん:「YUTTEはインターフェースに関しても、できる限り直感的に操作できるように、簡素化して作り込んでいます。アナウンスを作成するのに、手間取ったりしたことはありましたか?」

片桐さん:「私はパソコン操作などが苦手なのですが、導入の提案にいらした際に、成田さんや犬飼さんが“簡単に使用できますよ”とおっしゃってくださって、実際に操作画面を見ると本当に簡単でわかりやすいんです。現在使用しているアナウンスは、施設の他の方が作成したものですが、今後私が作成する際にもすぐに操作できそうだなとは感じていますね。」

TOA犬飼さん:「音声に関してはどうですか?YUTTEでは、合成音声を使用していますが、聴き取りづらさであったり、無機質なイメージを感じられたりは?」

片桐さん:「声の抑揚の付け方やピッチが変えられるためかもしれませんが、本当に人の声のように聴こえます。私も初めて聞いた時は、“あれ?新しいスタッフさんが話しているのかな?”と思ったくらい!安満遺跡公園では、男性の声は注意喚起などに使用し、女性の声は普段の定時放送に使用していますね。こうして用途によって使い分けられるのも良いところです。」


現状満足度は70点!? さらに改善をしてほしいことは?

TOA成田さん:「安満遺跡公園さんは非常にYUTTEをうまく使いこなしていただけていると思いますが、正直なところ、現状の満足度はどのくらいでしょうか。また“こんな機能があったらな…”と思うようなことはありませんか?」

川﨑さん:「簡単にアナウンス音声を作成してくれるという面では概ね満足しています。あえて点数をつけさせていただくなら70〜80点でしょうか。20~30点マイナスにしたのは、今後の発展に期待しての点数ですよ(笑)。今は、ルーティンとして流すアナウンスのみを放送していて、たとえば突発的に起こる迷子さんの案内や、公園内への自転車の乗り入れに対する注意喚起といったスピーディーな対応が求められるものに関しては、依然としてスタッフが確認次第、自分たちでマイクを握って放送しています。また、安満遺跡公園では、キッチンカーでの移動販売や各種イベントが頻繁に開催されますので、たとえばキッチンカーの宣伝も兼ねて今日のオススメの一品をアナウンスするなど、よりスピーディーで柔軟な対応ができる仕組みがあるといいかもしれません。」

TOA藤田さん:「たとえば、作成した定型文を自由に登録できるようにして、迷子さんであれば“お名前”や“服装”といった特徴のみを書き換えてすぐに、アナウンスが生成するといった機能は実装できるかもしれませんね。」


片桐さん:「いいですね。あとはアナウンスの文面を作るのも特定のデバイスだけでなく、自分のデスクでも行えると、よりスピーディーになるのではないでしょうかね。急に起こるトラブルを発見次第対処できたら、より快適で安全な公園になると思うんです。」

TOA犬飼さん:「それは重要なポイントですね。加えて、発見~認識~情報訴求という流れをよりスムーズにするなら、たとえば、敷地内についているTOAのカメラがトリガーとなって、事務所にアラートが鳴り、気づいたスタッフの方が即座に対応できるような仕組みができたら理想的ですよね。安満遺跡公園さんには、TOAのスピーカーやカメラを導入していただいていますから、またそうした今後の実証実験にもぜひご協力いただきたいと思います。」


TOA成田さん:
「本当に、こうして現場の声が伺えたり、意見のキャッチボールができるのは貴重な機会です。安満遺跡公園さんとは、期間を決めず連携をお願いしていますが、これからも色々とご意見を聞かせていただけますか?」


川﨑さん・片桐さん:「ぜひ!これからも期待しています。」


TOAの技術者たちが描く未来のアナウンスのあり方

TOA成田さん:「今回お話を伺って、将来的にYUTTEやその周辺環境をどうしていきたいといったイメージもさらに膨らんできましたね。現在運用してくださっているユーザーさまの中には、自社工場内でのアナウンスに活用してくださっている企業さまや、校内放送に活用してくださっている学校さまなど、お試しの方だけでなく実践的な使用を視野に入れておられる方も増えてきています。」


TOA藤田さん:「まだYUTTEはβ版ですし、将来的にできることは多いでしょうね。コンテンツの拡充として、まずは選択できる音声のバリエーションを増やしていくことや多言語対応なども考えています。インバウンド観光客や在日外国人の方にも正しくアナウンスができる自動化システムは必要になるでしょうね。音声のバリエーションが増えれば表現も広がりますし、アナウンスによる一方的な報告から、たとえば寸劇を交えた話者同士の掛け合いによるストーリーなど、CMのような伝え方も可能となりそうです。
また、片桐さんや川﨑さんのおっしゃったスピーカーやカメラとの連動というのもTOAとしてはぜひ実現していきたい考え方です。」


TOA犬飼さん:「これはまだ未来の青写真なのですが、僕としてはいずれ、人の代わりになるサービスをつくりたいと思っています。迷子さんの放送の際にも、たとえば“こんな特徴のお子さんがいたら教えて”と指示しておけば、あとはカメラが追跡して、現場に適切なアナウンスをAIが生成して放送してくれるような。AIやディープラーニングの技術も日々進歩していますから、そんな未来も近いんじゃないでしょうか。いまのYUTTEは人の代わりに喋るだけですが、まだ産声を上げたばかりです。この先どうなるかはわからないことだらけですが、お客さまの声をもとに、どんどん新しいことに挑戦していきたいですね!」

これから進化していく、TOAの新サービスにぜひご期待ください。

TOAとしても挑戦的な取り組みであるYUTTE。
現在、無償期間中のβ版は公式サイト(https://yutte-beta.t-cloudsystem.net/)で公開中です。
公共施設や公園、商業施設を運営されている皆さまで、ご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご利用ください。
多くの方にご利用いただくことで、YUTTEはさらに進化していきます。
皆さまのお声をぜひお聞かせください!

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