メーカーを知る、TOAを知る 中学2年生の職場体験「トライやる・ウィーク」
兵庫県教育委員会が主催する、中学2年生向けの体験活動週間「トライやる・ウィーク」。
学校と地域が協力し、職場体験などを通じて、生徒さんたちの「生きる力」を育む取り組みです。1998年から続くこの取り組みに、TOAは初年度より賛同し、生徒の受け入れを行ってきました。このような中学生向けの職場体験は、名前こそ違えど、さまざまな地域で実施されているのではないでしょうか。
私たちTOAは 「知る人ぞ知るニッチなメーカー」。そのため、生徒さんたちにはTOAでしかできない「特別な体験を楽しんでもらいたい」という思いも人一倍!
その思いが届いたのか、TOAのトライやる・ウィークを体験された方の中には、実際にTOAに入社された方もいるんです。今回は、そんなTOAでしかできない職場体験の内容を少しだけご紹介します。
職場体験を通じて、伝えたかったこと
1998年から進化を続けるTOAのトライやる・ウィーク。今年度、生徒さんたちに伝えたかったテーマは大きく2つありました。
1)メーカーってどんな仕事をしている?体験を通じてTOAを知ってほしい
TOAは業務用音響機器と映像機器のメーカーです。自社で技術を研究し商品を開発して、自社工場で生産し、世界各地で販売活動を展開しています。TOAの社名は聞いたことがなくても、実は皆さんの身近な場所で活躍しているんです。メーカーだからこそ触れられる特別な体験を通じて、そんなTOAを知ってもらいたいと考えました。
2)よく耳にする音にも、一つひとつメッセージが込められていること
TOAは、スピーカーやマイクといった目に見える商品だけでなく、スピーカーから出る音源そのものもグループ内で制作しています。駅で流れる発着メロディや、夕方に街中で耳にする時報のチャイムなど、皆さんに身近な音も、もしかしたらTOAの音かもしれません。そんな音の一つひとつには“聴く人に〇〇をしらせたい” “〇〇な印象を与えたい”など、さまざまなメッセージが込められています。生徒さんたちにも体験を通じて、街中で何気なく耳にする音のメッセージに興味関心を持ってもらいたいと思いました。
これらのテーマを生徒にどうすれば伝えられるか、社内で議論を重ねながら検討を進めていました。
オリエンテーション
最初のオリエンテーションでは、中学生にも身近なTOA商品をご紹介。
学校の教室内や廊下に取り付けられている四角いスピーカーや、始業式や終業式で校長先生が使っているマイクも、実はTOAの商品なんです。
また、駅のホームにある防犯カメラやスピーカーもTOAの商品で、防犯カメラで皆さんの様子を見守りながら、駅員さんのアナウンスを届けているんです。
生徒さんたちも「知らなかった!絶対どこかで聞いてるやん!」と驚きの反応を示してくれました。
TOAグループの研究開発拠点を見学&音体験
次に、兵庫県宝塚市にあるTOAグループの研究開発拠点ナレッジスクエアで、施設見学&音体験を行いました。ここでは、カメラで人の動きを検知する技術や、駅のホームなど騒音が大きい公共空間でも音を聴き取りやすくする技術も体験!
さらに、音が反射しない「無響室」や、スピーカーの音を視聴するベストな環境を整えた「サウンドルーム」など、開発段階で使用するさまざま試験室で音体験をしていただきました。
音を効率よく伝えるためにスピーカーの形状に施された秘密をご紹介すると、「よく見るスピーカーやメガホンも、理由があってこの形なんやぁ」と納得した様子の生徒さんたち。
学校生活をもっと過ごしやすくするために“お掃除チャイム”を考えてみよう
中学生に身近な音をテーマに、メーカーならではのものづくりの体験を提供するため、教室内で使えるチャイムの音源制作に挑戦しました。
学校のチャイムというと授業の始まりと終わりに流れるイメージが強いかもしれませんが、その他にもチャイムがあれば役立つ場面はきっとあるはずです。今回は掃除の時間に着目して、クラスの皆のためにどんなチャイムがあったら掃除の時間がもっと有意義なものになるのか、生徒さんたち自身に考えてもらってオリジナルのチャイムを制作しました。
クラスの皆がどんな状態になることを目指すのか、まずはチャイムの目的から考えていきます。そして目的に沿ってどんな音が適しているのか、サンプル音源を聴きながらイメージを膨らませていきました。ピアノの音、太鼓の音、窓を吹くキュッキュッという効果音…少しずつイメージがまとまっていきます。
いざ、音源制作!
TOA本社に場所を移して、音源制作に取り組みました。クラスの皆の顔を思い浮かべてチャイムの目的をあらためてクリアにしてから、専用のソフトを使って思い思いに音を重ねていきます。
オリジナルのお掃除チャイムの出来映えに、誇らしげな笑顔を見せてくれました!
お客さまに向けたプレゼンテーションも
「いいものができた!」で終わらないのがメーカーのお仕事。自分たちが制作したオリジナルのチャイムを、実際にお客さまに提案していきます。今回のお客さまは…学校の先生方です。チャイムに込めた想いを伝えるため、プレゼンテーションの資料作成と練習に取り組みました。
分かりやすい文章を心掛けながら、資料の見やすさにも気を配ります。そして、普段なかなか持つことのないマイクを使って喋る練習も!マイクの上手な使い方はTOA社員が伝授します。
「緊張する〜」と言いながらも、表情にはどこか余裕も見えます。いよいよお客さまである先生方をお招きしてのプレゼンテーションが始まります。
お客さまのご講評は?!
TOA本社の一室に先生方が足を踏み入れた瞬間、部屋にピリっと緊張感が漂いました。最初にTOAよりお仕事体験の様子をご紹介。そのあとに生徒さんたちからのプレゼンテーションがスタートしました。
「クラスの皆が気持ちを切り替えて、ゲーム感覚で掃除の時間を楽しめるように」
「賑やかなクラスだから、皆の耳にしっかり届くような楽器の音をリズミカルに使って」
オリジナルチャイムに込めたそれぞれの思いを、自分たちの言葉で伝えます。マイクを上手に使って、しっかりと前を見てプレゼンテーションするその姿に、TOA社員も感動です。
そして「それでは聴いてください!」生徒さんがお掃除チャイムを流すと、先生方からは「お〜!」「これ本当に自分で作ったの?!」と驚きの声が。嬉しそうに頷く生徒さんたちの顔に、私たちまで嬉しくなりました。
生徒さんたちが作ったオリジナルチャイムは以下よりご視聴できます。
先生方は「このトライやる・ウィークを通じて、生徒たちには企業がそれぞれの思いを持って活動をしていることを感じて欲しいと願っていました。TOAさんでの体験はまさにそれを体現したもので、生徒自身が考案したチャイムにも大変感動しています!クラス単位ではもったいないので全校で活用できないか、生徒たちと一緒に校長先生に交渉したいと思います」とご講評。プレゼンテーションは大成功し、完成したお掃除チャイムは、後日晴れて学校内で放送されることとなりました。
今回のTOAでのお仕事体験に対して、生徒さんたちからは「普段はできない体験ができました。クラスの雰囲気を考えながら一つひとつの音にメッセージを込めて作れたのも、すごく楽しかったです!」「普段学校でよく聞くチャイムにも作った人がいて、どんな人がどんな思いで作ったのかなと今まで考えてこなかった疑問が湧きました」などの感想が寄せられ、今年度のトライやる・ウィークも笑顔で締めくくることができました。
リアルな体験の場を提供したい。生徒さんたちを取り巻く多くの大人が、思いを同じくしているのではないでしょうか。
お仕事体験の目的は将来の夢を見つけるためだけでなく、純粋に「楽しかった!」と思ってもらうため。体験を通じて生徒たちの興味関心の世界を広げる一つのきっかけになれたらと、私たちTOAは思います。そうした体験の積み重ねが、大人になったときの財産なることを信じ、これからもTOAでしかできない体験をブラッシュアップしながら提供していきたいと思います。
来年、再来年、その先のトライやる・ウィークに参加される生徒の皆さん、いつの日かTOAでお会いできることを楽しみにしています!